主君「押込」の構造―近世大名と家臣団 (講談社学術文庫)

著者 :
  • 講談社 (2006年10月11日発売)
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感想 : 5
4

「愛国・民主・革命」に出てきて面白そうだったので。

「押込」と聞いて何を思い浮かべるだろう?
「押込み強盗」なんて物騒な言葉もある。
しかし、私が思い浮かべたのは、
親戚の子供たちが、法事で田舎の大きな家に集まり、
使われていない押し入れで遊んでいるうちに、
無理やり押し込められた子が泣き出し、
それぞれの親に怒られる、そんな昭和の光景だ。
それゆえ、「押込」と聞いて、くすっと笑ってしまった。

実際には、
主君の「押込」には、暗殺の懸念が伴う場合もあったらしいし、
「押込」から復活した主君に復讐されて命を絶たれることもあったようだが、
西洋の近世が、
ルネサンス、宗教革命から産業革命までの血なまぐさい時代だったのに対して、
家老他の合議で、家のためにならない主君の隠居を迫る「押込」の、なんとのどかなこと。
さすが、鬼をも福と成す国、日本。

前半は、
家老が言うこときかないから、後継ぎもいないのに隠居すると脅かす殿様やら、
藩主に反意を示すために正月の儀式を一斉に欠席する藩士やら、
面白い話が満載だった。

後半はちょっと難しくなってしまったが、
まじめに読む人には面白いと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 興味
感想投稿日 : 2014年6月10日
読了日 : 2014年6月9日
本棚登録日 : 2014年6月10日

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