牛肉と馬鈴薯・酒中日記 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1970年6月2日発売)
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感想 : 29
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⚫︎感想
「牛肉と馬鈴薯」
思想短編。経済の奴隷にも労働の奴隷にもなりたくはない。そういう二者択一の「習慣(カストム)の眼」から逃れて、「驚き」をもって屹立したいという主義を述べたもの。

「即ち僕の願はどうにかしてこの霜を叩き落さんことであります。どうにかしてこの古び果てた習慣の圧力から脱がれて、驚異の念を以てこの宇宙に俯仰介立したいのです。その結果がビフテキ主義となろうが、馬鈴薯主義となろうが、将た厭世の徒となってこの生命を咀うが、決して頓着しない!」

「ヤレ月の光が美だとか花の夕が何だとか、星の夜は何だとか、要するに滔々たる詩人の文字は、あれは道楽です。彼等は決して本物を見てはいない、まぼろしを見ているのです、習慣の眼が作るところのまぼろしを見ているに過ぎません。感情の遊戯です。」



⚫︎あらすじ(本概要より転載)
「近代的短編小説の創始者」独歩の中・後期の名作を収録。

理想と現実との相剋を超えようとした独歩が人生観を披瀝する思想小説『牛肉と馬鈴薯』、酒乱男の日記の形で人間孤独の哀愁を究明した『酒中日記』、生き生きとした描写力を漱石がたたえた『巡査』、ほかに『死』『富岡先生』『少年の悲哀』『空知川の岸辺』『運命論者』『春の鳥』『岡本の手帳』『号外』『疲労』『窮死』『渚』『竹の木戸』『二老人』。詳細な注解を付す。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年2月27日
読了日 : 2024年2月27日
本棚登録日 : 2024年2月27日

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