まさに「北方三国志」の舞台裏を知りたい人のための本。北方謙三さんの若かりし頃の体験が存分に反映されている小説になっていることが分かる。機動隊の対決で、大きな石をぶつけられて一度は倒れた男が起き上ってくる様子なんかは生々しい。また、何かと持ち上げられがちな諸葛亮についても、その才能を認めつつバッサリと切っている(笑)
この小説を書くのはかなりエネルギーを要することだったようで、「もう小説家として生き切った」(69頁)とあるのを読んで、当時小学6年生に過ぎなかった自分も惹きつけられたわけだ、なんて思った。
張飛がなんで急性アルコール中毒で倒れなかったのか、とか当時の武器事情、さらには医療事情についての言及もあって飽きない。個人的に面白かったのは、曹操が自ら兵法を体系化したことによって、後年苦しむことになったという指摘だった。兵士たちを取り巻く環境が移り変わるにつれて、統率を取り易くなったことが関係しているらしい。また、アメラグ(アメフト)の動きも参考にしているらしく、この部分を読んでいて自分はアイシールド21(マンガ)試合の模様と軍勢が展開していく様を頭の中で重ね合わせてみた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年3月17日
- 読了日 : 2014年3月7日
- 本棚登録日 : 2014年3月7日
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