ブルー・ヘヴン (ハヤカワ・ミステリ文庫 ホ 12-1)

  • 早川書房 (2008年8月22日発売)
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感想 : 24
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時は止まっていない・・・
すべてがいつまでも今までどおりではない…
少しずつ、でも確実に変わっていく
アイダホの大自然に囲まれた小さな町ブルー・ヘブン。
その名も、大都会からこの町への移住者の増加とともに生まれた、
町への美しい愛称…

この町で生きることを愛して移り住んでくる人たちに紛れて、
大都会の悪が密かに持ち込まれる。
やがてそれは森の中で起きたひとつの殺人事件へ…

時代に流されそうな老年のカウボーイ。
悲しみの中で母親としての自分を再び見出す美しい女。
誰も信じられなくなった傷ついた心を抱える姉弟。
過去の事件に区切りをつけようと町を訪れる元警官の男。
町の発展に貢献しながらも心に陰を宿して生きる銀行家の男。
社会の不条理からいつしか影の犯罪者へと身を崩していったロス市警の警官たち。

小さな町でのわずか3日間…
それぞれが思惑を抱きながらの極限を経験する。

厚みのある本ですが読み出したら止まらない物語…
映画を見ているような…と言ってもいいですが、
だからといって、映画のノベライズのような薄い表現でもなく、
腕の良い映画のエディターが、
実に子気味よく切り結んで創り上げた作品を見ているような感覚です。
そして面白い小説だと、率直に人にも薦められる本です。

この老年のカウボーイ、彼の名はジェス・ロウリンズ。
ジェスという名前が実にしっくりきています。
だからといって、凄腕のヒーローを描いたものでもない…
登場人物の誰もがこの3日間に生き方をこれでもかと試され、
恐れと不安に苛まれながらも自分自身の蒔いたものを刈り取る…

実際に映画化されるんだとか…
著者のHPにはジェスの適役としてのアンケートなどもあるようですが、
お好みの俳優をあれこれ当てはめて楽しんでみるのも一興です。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: エンタテインメントな本たち
感想投稿日 : 2008年9月3日
本棚登録日 : 2008年9月3日

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