すごく感想が難しい作品というか、ひたすら「何だこれは……何なんだこれは……」という気持ちにさせられるような……。ユートピアを通り越した、とても作者の独りよがりで囲われた狭い、痛みのない世界で、まるで全てが鎮痛剤が見せる幻覚のようで。なのに、それが猛烈な強度と、一種の切実さ、刹那さをもって立ち上がっているような作品。ぞっとしながらも、ヒンヤリしながらも、この、次の瞬間には覚めてしまいそうな夢の世界に、読みながらなにか祈りを捧げたくなるような、そんなギュッとなる感情がとめどなくあふれる全3巻。ろこつに年齢制限をかける描写が出てきたりもするのですが、この2巻はなぜかそういうシーンもあまりなく、すげえ、何だこれは、という気持ちになります。すげぇ……。
何十年も前から、作者の中で完成しきっている世界観を、その数週間だけを切り取って見せられたようでもあって、そこも含めて、ちょっと読んだことがないような作品でした。強烈……!
「死」に真正面から「逃げる」ことは、「死」に真正面から向き合うことと、とても似ているのかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
マンガ(電子書籍)
- 感想投稿日 : 2016年9月28日
- 読了日 : 2016年9月7日
- 本棚登録日 : 2016年9月7日
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