評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている

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  • ダイヤモンド社 (2011年2月25日発売)
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人類の歴史は、3つの革命によって、引き返せない楔を打ち込まれた。
農耕革命、産業革命、情報革命
それぞれの時代に生き残る(サバイバル)のに必要なスキルを人々は学んできたが、現代社会ではどのような基準で生きるのがベストなのかを「評価経済社会」というキーワードを切り口に明快に分かりやすく現代を読み解くす良書。

面白かったポイント
人類の歴史には「引き返すことができない楔」が打ち込まれたポイントがある。というところが面白かった。

農耕社会では、作物の生産量が絶対で、それを左右するもの、例えば大地の恵みや水、太陽を「カミ」として崇める社会

自分たちが生き残るために食料を作る必要があり、その生産量に応じた集団が形成される。
その小集団は「自分たちが生産できる作物の量」に絶対的な価値を置き、それが達成される要素を守ろうとする仕組みを絶対とする社会

産業革命は、生産量が劇的に高められた世界で、それを生産できる工場やそこで働く労働者が中心になる社会

そこではどれだけ効率よく生産できるかが善となり、そのために社会インフラが整備された(例えば義務教育のような教育システムなど)その社会は、効率や科学技術の発展が善となり機能している

情報化社会では、社会全体が「情報」というネットワークで繋がり、一気に世界がひとつになっていく。
その中では工場労働に適した人材が善となるシステムの上で効率よく物や金を得るより以上に、情報の質や信頼性が善となる社会になる。

このパラダイムの違う世界ではそれぞれの価値観は混ざり合うことがないし、お互いがお互いを理解できる共通認識がずれてしまっていて、コミュニケーションの断絶がおこる。

いわゆる「幸せの尺度」が違うのである

このようなパラダイムシフトによる社会の断絶を、うまく解釈する提言として、堺屋太一が提唱する「やさしい情知の法則」が使える

その法則とは
「どんな時代でも人間は、豊かなものをたくさん使うことは格好よく、不足しているものを大切にすることは美しい、と感じる」

現代社会で豊かに存在しているのは「情報」そして、不足しているのは「心の豊かさ」である

評価経済社会とは、お金よりも物や人がその他大勢からどのように評価されているかが重要になる社会。

どれだけ自分自身が「私はこういう人だ」と主張しても、その他大勢からの評価と比べて何処かに違和感があると受け入れられない世界である。

大きなパースペクティブで歴史や地球全体を見つめて、社会全体を推し量る尺度のような提言をキーにすることで、これほど明快に現代社会を浮かび上がらせる事に成功している本も珍しいと思う

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス・経済
感想投稿日 : 2013年3月1日
読了日 : 2013年3月1日
本棚登録日 : 2013年3月1日

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