秘密結社というのは構成や活動内容どころか、
そもそも存在自体を秘しているからこその「秘密」結社、なんですな。
言われてみれば当たり前だけど、
そんなことにもうっかり気づかずにいたワケで。
さて、この魅惑的なネーミングの組織は、
錬金術で人々の暮らしをよくしようという、白魔術発想の団体だったようで。
17世紀初頭、ヨーロッパで知られるようになったのだけど、
始祖のクリスチャン・ローゼンクロイツという名前がなんだか怪しい――
と思っていたら、どうやら人物名を組織に冠したのではなく、
理念ありきの後付けだったんじゃないかというお話。
ただ、イメージの雛形になったクリスティアンという少年は実在したらしい。
著者曰く、
あるいは偶々ローゼンクロイツの綽名を授かったクリスティアン少年が、[略]
あえてローゼンクロイツの名を宿命として選択したのかもしれない。【p.234】
とのことで、この条が事実だとしたらドえらいロマンティックやなぁ……
なんて、ミーハーな自分は思ってしまうのだった。
ところで、Ⅱ.薔薇十字の魔法「不死の人」にて、
長生きのためには新陳代謝を遅らせるのだ、人工冬眠だ!
とて、娘の世話で冬眠を実践するアメリカ人夫妻の話が出てきて、
山尾悠子『ラピスラズリ』の《冬眠者》を想起してニヤニヤしてしまった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史・文化・社会
- 感想投稿日 : 2012年6月22日
- 読了日 : 2012年6月22日
- 本棚登録日 : 2012年6月22日
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