『新青年』系の推理作家で、太平洋戦争中、
戦地で病没した大阪圭吉の作品集、2012年の再版、短編11編収録。
4月に『とむらい機関車』を読了してから
4ヶ月あまりのインターバルを経てアタック。
こちらには犯罪研究家・青山喬介は登場せず、
水産試験所所長の東屋三郎(「燈台鬼」「動かぬ鯨群」)や
弁護士の大月対次(「花束の虫」他)が名推理を発揮。
全体的に『とむらい機関車』より垢抜けて洗練された印象だが、
その分、不気味さ、猟奇っぽさは薄くて、やや食い足りない感じ。
ただ、歪んだユーモア漂う「大百貨注文者」は愉快だったし、
乱歩や久作の短編にも通じるような鬼気迫る怪談「人間燈台」、
老人が語る幽霊譚(?)「幽霊妻」――と、最後の3編は立て続けに面白かった。
解説に
戦地に赴く前に本格長編推理小説を書き上げ、
甲賀三郎に託したと伝えられるが(略)原稿は行方不明となっている。〔p.314〕
――とある。
惜しい、実にもったいない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
怪奇・探偵小説
- 感想投稿日 : 2013年8月25日
- 読了日 : 2013年8月25日
- 本棚登録日 : 2013年8月8日
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