世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?~経営における「アート」と「サイエンス」~ (光文社新書)

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  • 光文社 (2017年7月20日発売)
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今日のように複雑で不安定な世界では、「論理と理性」に軸足をおいて経営することは難しい。全体を「直覚」的に捉える感性と、「真・善・美」が感じられる打ち手を内省的に創出する構想力や創造力が、求められる。

このような考え方はとても新鮮だった。たしかに、ロジカルに考えれば考えるほど、みんなが同じ答えにたどり着いてしまう。それでは、スピードとコスト以外に戦う武器がなくなってしまう。
少しでも美意識を鍛えて、いざという時の直感力を養っていきたい。

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・世界のエリートが、「美意識」を鍛えている理由は、数値化が容易ではなく、論理だけではシロクロがはっきりつかないような問題について、適時・適切に意思決定をするための究極的な判断力を鍛えるため。

・現在のように、システムの急激な変化に対して、法の整備が追いつかない状況で、法律で明文化されているかどうかだけを判断の基準する考え方は、倫理を大きく踏み外す危険がある。明文化されたルールや法律だけを拠り所にするのではなく、内在的に「真・善・美」を判断するための「美意識」が求められることになる。

・「論理と理性」に軸足をおいて経営をすれば、必ず他者と同じ結論に至り、その市場は必然的にレッドオーシャンとなる。そこで戦うためにはひたすらスピードとコストを武器にして、従業員を疲弊させていくしかない。これが、現在、多くの日本企業の陥っている状況。

・どう「美意識」を鍛えるか?
 哲学(主張そのものよりも、そこに至った気づきと思考の過程や、哲学者自信が社会へ向き合う姿勢)、文学、詩。

・「生産性」「効率性」といった外部のモノサシではなく、「真・善・美」を内在的に判断する美意識という内部のモノサシに照らして、自らの有り様を考えていく必要がある。

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感想投稿日 : 2020年8月31日
読了日 : 2020年8月30日
本棚登録日 : 2019年10月9日

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