此の世の果ての殺人

著者 :
  • 講談社 (2022年8月24日発売)
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本棚登録 : 4462
感想 : 433
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史上最年少での江戸川乱歩賞受賞とのこと。
『脳男』とか、『13階段』とかの頃は自分も乱歩賞を追っていたけど最近はめっきり。
最近の受賞リストを見ると下村さん、呉さん、佐藤究さんの名前なんかがあったりして、一線級ミステリ作家への登竜門としての機能もそこそこ果たしている模様。
なのだが、本作は自分には合わなかった。。。

来る2023年3月7日に小惑星テロスが地球に衝突することが発表され、世界中の人々が生き延びるためにてんやわんや。
衝突地点とされる日本の福岡はほぼ無人の地と化し、食料供給はおろか電気、水道、電話の社会インフラ、警察すら機能していない有様。
そんな中で、自動車教習を進める主人公小春とイサガワ先生。
誰もが絶望感に打ちひしがれ、小春の父は一昨日自殺したばかりで未だに居間におきざり、山道教習で山に出向けば枝からぶら下がる無数の首吊り遺体。

ある日、高速教習をしようと選んだ教習車のトランクに、めった刺しのスーツ姿の女性死体が。
イサガワ先生は素早く検め、女性の身元をホームズ張りに推測するかと思うと、この他殺体に対する調査を当たり前のように始める意気込み。
何者かと思えば、元警察官だという。
調べを進めていくうちに、連続殺人事件の様相すら表す他殺体が他にもあることがわかる。。。

「もうすぐ滅亡するのに、何故?」っていうのと「もうすぐ滅亡するけど、それでも」っていうのがぐちゃぐちゃのように感じた。
何でもあり状態になっている中での、何故それをするのかの理由がストーリー展開に都合の良いようにこじつけられているというか。
一筋縄ではいかない、人間の矛盾する感情というのは分かるのだが、一度違和感を感じてしまうと、何もかもにも張りぼてめいた感じを抱いてしまう。
フィクションなんて得てしてそんなものなのだが、それを気にせずその世界観に没入できるかどうかは相性。

最後の最後、「やってみなきゃ分からない」という希望を生み出す考え方への光の当てか方は嫌いじゃなかったけど、全体的にはちょっと。。
『ちぎれた鎖と光の切れ端』も手元に届いているのだが、これはどうしようかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 国内ミステリ
感想投稿日 : 2024年3月2日
読了日 : 2024年2月28日
本棚登録日 : 2024年3月2日

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