縁切寺お助け帖 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2019年1月24日発売)
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感想 : 21
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鎌倉の〈東慶寺〉は幕府公認の由緒正しきお寺であると同時に日本には二つしかない縁切寺のうちの一つ。
警護役である女剣士の茜、時に皮肉や毒舌を混ぜながらお説教をする秋山尼(しゅうざんに)を始めとする尼僧たち、寺一番の韋駄天飛脚の梅次郎らが今日も様々な理由で駆け込んでくる女たちのために奔走する。

あちこちに妾を作った上に本妻に出来た子供を跡継ぎにはしないと宣言した役者の夫に愛想を尽かした女、お店乗っ取りを企む親類たちに無理やり縁切寺に追いやられた女、夫の暴力に耐えかねてやってきた二人の女。

駆け込んできた理由にはそれぞれあり、離縁すればそれで良しではない。
その裏に何があるのか、どうすれば女たちが幸せになれるのか、それらを警護だけでなく探索も得意な茜が探り、院代の法秀尼らが解決策をともに導き出す。

アクションあり、ドラマあり、センチメンタルありと田牧さんお得意の物語が展開する。
第一話の役者の話では森田座や中村座という名前が出てきたので、〈役者双六〉シリーズの面々がちらっと出てくるのでは…と期待したが、時代が違うのかどうなのか出てこなかった。

茜自身の過去も絡ませつつ、単純に女性=弱き者、虐げられる者ではなく、どうすれば男女ともに平等に尊重し合えるのか、前向きに生きていけるのかということを考える。ただ時代が時代だけにそう簡単ではなさそうだが。
シリーズ化を考えているのか、サクッとした印象。今後更に深掘りがあるのか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説 ドラマ
感想投稿日 : 2019年6月20日
読了日 : 2019年6月20日
本棚登録日 : 2019年6月20日

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