シリーズ第十一作。
みなさんのレビューにある通り、当初の設定から外れてどんどん不穏になっているのが淋しい。
怪異を探しにウキウキしながら夜な夜な歩き回る中将・宣能と、ビクビクしながらも必死でついて行く右兵衛佐・宗孝の様子が楽しかったのだが、もう見られないのだろうか。
序盤に『戦慄!闇を漂う怪しい光は果たして亡者の魂か!?』というその手の月刊誌の見出しのような噂話を調べに二人で出かけるも、結局何もなく、それだけでなく宣能を心配する宗孝の思いは宣能自身にシャットアウトされてしまう。
宣能自身、次第に父・右大臣の冷酷さが似てきたのを自覚していて、弘徽殿の女御を騙す嘘がバレたのを上手く収めようとするやり方が不穏なのも心配。
初草の君が泣いてしまうほど宣能が変わってきているのだ。
そんな中で東宮の真白の君への思いと、初草の君の宗孝への思いは一途で、二人とも幼いだけに純粋で可愛い。
宣能は東宮に4,5年待てと伝えたが、その4,5年後、少し大人になった二人にはどんな世界が待っているのか。
状況を整理すると
①宣能の多情丸への復讐は遂げられるのか
右大臣は多情丸の過去を知っているのか
②東宮→真白の君への求婚(入内)は叶うのか
弘徽殿の女御が激しく抵抗するだろうから壁は高い
③十郎太(十の姉)の正体が明らかになり、多情丸のターゲットは十郎太だけではなくなった
宗孝はどうなる?
④初草の君→宗孝への思いは伝わるのか
鈍い宗孝だが4,5年かければさすがに気付くかも
⑤狗王(多情丸の部下だが忠誠を誓っているのは寧ろ宣能に対して)は今後どう動くのか
弘徽殿の女御への思いはどう決着するのか
民間陰陽師・歳明や専女衆の陽気なおばあちゃん連中の出番は当面なしだろうか。
わちゃわちゃした雰囲気が好きだっただけに、最後は楽しく決着させて欲しいなと思うのだが、しばらくは不穏なまま続きそうだ。
- 感想投稿日 : 2022年7月7日
- 読了日 : 2022年7月7日
- 本棚登録日 : 2022年7月7日
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