姫君の賦(ふ) 千姫流流(りゅうりゅう)

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  • PHP研究所 (2018年12月14日発売)
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徳川秀忠の娘にして豊臣秀頼に嫁いだ千姫。その半生をお付きの女房・松坂局から描く。
大坂城落城後、本多忠勝の孫忠刻に嫁ぎ、そのことで本多家は栄え姫路へ移ることになる。
更には長女勝姫と長男幸千代を授かり幸せな日々も絶頂期。だがこの後に辛い日々が待っていた。

『姫さまとは、あらゆる草や石を踏みつけても、そこに敷かれた緋毛氈の上をまっすぐに進むお方。姫さまが、毛氈の下に何があるかを気に掛ける必要などござりません』

千姫の妹・松姫が朝廷への徳川幕府の影響力を強めるために強引に入内させられようとするときに松坂局が言う言葉が印象的。
実際の千姫がどういう人物なのかはわからない。この作品のように松姫の宮中での暮らしを思いやり、夫忠刻と仲睦まじく夫の死には慟哭したのかも知れない。
ただ自分の進む道一つ自分では決められない、時の将軍の娘であり後の将軍の姉というあまりの血筋の良さゆえに翻弄された彼女には様々な恨みを買っても上記のように凛として前を向き進む他ない。

そしてそのために常に傍で支えた松坂局と、宮本武蔵の養子・三木之助との邂逅は切ないながらも一生独り身を貫いた松坂局にとっての美しい思い出として良かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説 戦国・歴史・伝記
感想投稿日 : 2019年6月25日
読了日 : 2019年6月25日
本棚登録日 : 2019年6月25日

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