東京・下高井戸に造られた、
アミューズメントパークを巡る、
皮肉で壮大な偽歴史物語。
大人向けの快楽を追求したアトラクションは、兎に角振り切れている。
自分の顔がどんどん変形して、自殺や同性愛を体験できるアトラクションや、巧妙な心理作戦によって、最後は発狂するまで追い詰められるホラーアトラクション。
個性豊かでニヒル、あるいは芸術に取り憑かれたアトラクションデザイナーたちが生まれ、アトラクションを生み出し、スターになり、時代を彩る。
私利私欲にまみれた政治家たちが危うげにそれらを運営する。
その中にも、時折カリスマや覇者が現れ、パワーバランスが変化する。
まさに民主主義の成り立ちの経緯と、衰亡を、アミューズメントパークという、エンターテイメントでキッチュな舞台で描くという究極の皮肉。
そんな狂った世界で起きるエピソードは、あまりにもリアル。
今この瞬間にも社会や地域のコミュニティや、友人知人、TVのニュースの中などで、頻繁に目にするような、ごくありふれた出来事ばかり。
(それは、政治的なことから、恋愛に至ることまで)。
なのに、現実の日本とは似ても似つかない「日本」がこの本の中に存在する。
壮大で、イテリジェンスで、大真面目なブラックジョークを、延々と聞いたような気分。
ちょっと長い。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文庫&新書
- 感想投稿日 : 2012年8月21日
- 読了日 : 2012年8月21日
- 本棚登録日 : 2012年8月21日
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