誰かが再編集したのではなく、その渦中にあった作家の手記だけに、震災の被害の描写に衝撃を受けることも多かった。
その日の朝がどんな天気で、どんな空気だったか。
ささいなことだけれど、これだけでもずいぶん「その日」のことがリアルに感じられる。
火災直後の下町で見聞したことは生々しくて、とてもやりきれない思いがした。
興味深かったのが、花袋の東京への思い。
関東大震災では、江戸時代から続く町並みが破壊されたと聞く。
明治10年代早くに上京した花袋も、もちろん江戸の名残を愛惜している部分もあるが、同時に、「これで東京の町並みが一新する」という期待を少なからず抱いているようなのに驚いた。
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- 感想投稿日 : 2013年8月15日
- 読了日 : 2013年8月15日
- 本棚登録日 : 2013年8月15日
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