休職中のボッシュが母親殺しの犯人を追う本作品は、ボッシュのルーツを辿るロード・ムービーを観るようなイメージで読める。カウンセリングを通して自分の取るべき行動について閃く辺りは都合がいいようにも感じたが、その後のボッシュの覚悟を伴った心境の変化に比例するように、ひとつひとつ踏み込んでいく複雑な過去にすっかり入り込んでしまった。
善と悪、守るべきものと排除するもの、これらのコントラストが効いており、いろんな局面で考えさせられることが多い。またミステリ的にも面白く、ふっと気の抜けた後のサプライズに、心地よい緊張を強いられた。
憂いを帯びた物悲しいストーリーが読み手に訴えるものは大きく、いかにしてボッシュが現在のキャラクターになったのか、またそうならざるを得なかったのかが、本作品を読むとよくわかる。シリーズの中でも、この四作目はある種の節目となるのではなかろうか。
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- 感想投稿日 : 2010年7月27日
- 本棚登録日 : 2010年7月27日
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