星をつなぐ手 桜風堂ものがたり

著者 :
  • PHP研究所 (2018年7月31日発売)
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感想 : 148
5

読んだ後、温かくてほわほわした気持ちになった。
そしてそのまま表紙を見ると、すぐにラストを思い出してキュンとする。
文庫よりこっちの絵のほうが好き。

これで完結とのことだが、これでいいような気もするし、後日談が読みたいような気もする…
(船長を託した謎の男性とか、町長の家系の話とかちょっとしたこぼれ話みたいなのも読みたいわぁ)

二巻目は主人公の一整より、女性陣の話が印象的だった。
一整の棚ぼた話→苑絵が殻を破り始めた話→渚沙の過去と今の話→星祭り
で、合間に漫画家の卵の話

一整のために絵を描く勇気を出した苑絵。
一歩踏み出した彼女の内面が少しづつ変わって、夢も具体的な形になりつつある。
本人は悩んでるつもりなのかもしれないけど、前に比べたらかなり前向きなくよくよ(?)さだと思う(笑)。

どちらかというと渚沙のほうが分かりにくい分、何だか痛々しい。
明るく機知に富む強い女性は、父が不倫の末に自分達を捨てたという辛い現実から、自分と母を守って立ち上がろうとして生み出されたものだった。
私は誰かの大切なものを奪うことはしない、苑絵を守りたい、罪滅ぼしに守らなくちゃいけない、何かを犠牲にしないと幸せは手に入らない…そんな無意識が渚沙の中にあって、甘えることができなくなっちゃったんだね。
でも渚沙の話があるから、この本自体に刺激と読みごたえが生まれて、一整と苑絵の仲も進む。。

渚沙は一整や苑絵の持つ、自然体で周りを惹き付け魅力にどこかかなわないと思ってる。
(自分は努力してセルフプロデュースで身につけたもので、そういった才能は無いと感じてる)
でもそうやって傷ついても強くあろうとする姿が、彼の心を打ったのかなぁ。

彼女が甘えられるくらいのデカイ器を持ってる彼が、大型犬ばりに渚沙にじゃれ付いて、素敵な関係を築く。…という妄想が止まらない(笑)

あと、あとがきに表紙を書いた人の名前を出してくれてありがたい。ラノベとかは著者と絵担当でそれぞれ載せてくれるけど、普通の書き下ろしだと、かわいい絵!素敵なデザイン!と思っても取っ掛かりがなくて、他の作品を探しにくいんだもの。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2019年3月16日
読了日 : 2019年3月16日
本棚登録日 : 2018年8月16日

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