モスラの精神史 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2007年7月19日発売)
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購入したままはふつてゐた本書。そのうち読まうとして何と6年も経つてしまひました。もつとも我が家には、新刊で購入しながら30年以上未読の本がごろごろしてゐますが……

1961年の東宝映画「モスラ」(本多猪四郎監督)と、その原作たる『発光妖精とモスラ』(以前「源氏川苦心の日々充実」にて取り上げてゐます)を俎上に載せて、縦横に論じてゐます。

三人の純文学者(中村真一郎・福永武彦・堀田善衛)が原作を手がけたのはなぜか?
なぜモスラは「蛾」でなくてはならなかつたのか?
原作と映画版では主人公が入れ替つてゐるのはなぜか?
インファント島とは何処にあるのか?
モスラと日米安保の関係は何か?
なぜ東京タワーに繭を作つたのか?(原作では国会議事堂だつた)
モスラが襲うニューカークシティのセットが「おもちや」みたいに貧弱なのはなぜか?
モスラのモティーフを引き継いだのは、後発の怪獣映画ではなく、あのアニメ作品だつた?

様様な角度から、これらの疑問を解くのであります。同時代の背景を抜きにして語れぬことが解ります。それにしても花村ミチ=樺美智子説はアッと驚く指摘であると申せませう。
若干牽強付会気味なところもあるけれど、ユニイクな視点から、新たな「モスラ」の魅力を提示してくれる一冊でございます。

http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-117.html

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 映画・TV・芸能
感想投稿日 : 2013年9月11日
読了日 : 2013年9月9日
本棚登録日 : 2013年9月11日

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