ゴルフ場殺人事件 (新潮文庫 赤 135-9)

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感想 : 9
5

クリスティーの作品の中ではあまり評価の高い作品ではないが、個人的にはとても面白かったし、好印象の作品。
「ゴルフ場殺人事件」というタイトルだが、ゴルフとは何の関係もなく、死体がゴルフ場予定地のバンカーで見つかったというだけのこと。
調査依頼を受けたポアロとヘイスティングズが現地に到着する前に依頼者が刺殺され、さらにもう1つの遺体が見つかり、約二十年前の殺人事件と関連があることがわかるが……。尋問で犯人が名乗り出るものの、あと約40ページもあるのでもう一波乱ありそうだと思っていると、意外な結末へ。
ポアロと敵対するフランスの刑事ジローとの対決や、ヘイスティングスの恋心も絡めて、実に面白い展開を見せる。
トリックがどうこうということはないが、事件の構図が非常に複雑で、それを解きほぐしていくのが主題のミステリー。
過去と現在の人物のつながり、オーヴァーに入っていた手紙の謎、ナイフの移動など、様々な錯誤や謎が仕掛けられていて、真相を知るとなるほどと思うところが多い。
真犯人を確定させるために、最後にポアロがある人物に指示したことや策略も見事。
平均点の高いクリスティーらしい佳作。
※新潮文庫版では、「ポワロ」ですが、他と合わせて、「ポアロ」と表記しました。

(ネタバレ)
一点だけ、指摘を。
ポアロは「鉛管の切れ端」を重要な証拠と見なしていて、その理由として、被害者の顔を誰とも見分けがつかないように傷つけるためのものだと説明しているが、被害者の顔については「顔を無残に引きつらせ」としか描写されていないはず。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年2月8日
読了日 : 2019年2月8日
本棚登録日 : 2019年2月8日

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