教養は「事典」で磨け ネットではできない「知の技法」 (光文社新書)

著者 :
  • 光文社 (2015年8月18日発売)
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本棚登録 : 406
感想 : 37
3

Kindle Unlimitedに入っていたので何の気なしに読んでみたもの。

全3章立て。
第1章は、事典・辞典・図鑑がなぜ教養を磨くために役立つかという解説。
第2章は、著者オススメの事典・辞典・図鑑を紹介するブックガイド。
第3章は、事典が作られるプロセスを、版元を取材して探るルポ的内容。

3つの章のうち、第2章のブックガイド編がいちばん面白い。
第1章はとくに目新しいことは書いておらず、凡庸な内容。第3章は、事典の制作プロセスに興味のない私には退屈だった。

この手の事典ガイドは過去にもあったが、本書には著者ならではのヒネリが加えられている。

過去の類書はあくまで「レファ本」(レファレンス本)ガイドであって、知的生産の補助本として事典を紹介する内容であった。

本書にもそういう面はあるが、そこにとどまらず、事典を〝読んで楽しみ、眺めて楽しむもの〟としても紹介している。そこが大きな特徴。

たとえば、美しい写真に彩られた東信の『Encyclopedia of Flowers――植物図鑑』シリーズを、著者は「一生枯れないブーケ」として「飾る本」「贈るための本」として紹介する。
自分で眺めるにもよいが、花束代わりにギフトとして用いるにも好適だというのだ。

そのような視点は、「情報として役立つか?」のみを追求した既成のレファ本ガイドにはけっしてないものだろう。

また、ガイド編を読んで、私自身が買って手元に置きたいと思った本が10点以上あった。それだけでも、読んだ価値は十分にあったと言える。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本/その他
感想投稿日 : 2021年3月22日
読了日 : 2021年3月22日
本棚登録日 : 2021年3月22日

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