物議を醸し続ける初期作『犬』を、なぜ描いたのか? それを振り返る形で書かれた6万字超・書き下ろしの「『犬』全解説」がメインの一冊。
自作解題でありつつ、芸術家としての核をさらけ出した力強いマニフェストでもある。
会田誠の著書を読んだのは初めてだが、文章がたいへんよい。論理的で明晰だし、読者を楽しませるサービス精神にも富んでいる。美術家であると同時に「言葉の人」なのだな。
ただ、併録された「『色ざんげ』が書けなくて」は、茶化した感じの雑な書き方がされていて、感心しなかった(それで☆一つマイナス)。
「『犬』全解説」は、今後会田誠の作品を論じようとする人は、絶対に避けて通れない文章になるだろう。
彼のファンはもちろん、「犬」その他の性的な作品を蛇蝎のごとく嫌っている人であっても、一読の価値がある。「性と芸術」について考察するためのよきテキストとなるだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
芸術・美術
- 感想投稿日 : 2023年1月8日
- 読了日 : 2023年1月7日
- 本棚登録日 : 2023年1月7日
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