相対性理論(というバンド)、いいですな~。
国立のディスクユニオンに行ったら彼らのニューアルバム『ハイファイ新書』が店内で流れていて、妙に気になった。で、帰宅してからYou Tubeで検索して聴くうちにすっかりハマってしまった。
アマゾンで注文しようと思ったら、現在在庫切れ。しかも音楽で30位。売れているのだ。
で、近所の新星堂で買ってきたのだが、そこでもすごい枚数が並べられていた。
スミスのジョニー・マーを彷彿とさせる清冽なギター、カヒミ・カリィをもっとロリロリにしたようなウィスパー・ヴォイスのヴォーカル、キャッチーなメロディ、独創的で面白い歌詞……ポップ・ミュージックとしての完成度が只事ではない。これでインディーズだというのだからビックリだ。
ジャケに描かれた「33:21」というのは何かと思えば、トータル・プレイング・タイムのことだった。「いまどきのフルアルバムで33分というのは短かすぎだろう」と思ったのだが、収録曲が全部よいので短かさが気にならない。まさに捨て曲なし。
前作(ミニアルバム『シフォン主義』)がスミスばりのギター・ロックだったのに対し、この新作はロック色がかなり薄れている(ポストロック的になったというか)。ギターのフレーズとヴォーカルにはジャズやボサノヴァからの影響も感じられる、脱力感が心地よい「ゆるふわポップ」である。
座標軸としては、やはりPerfumeに近い。
「萌え文化」「オタク文化」に深く根差した音楽でありながら、とくにオタクではないフツーの音楽ファンにも十分アピールするキャパの広さをもっている、というあたりがPerfumeと共通なのだ。
これほど心地よいポップスもめったにない。BGMにしてよし、歌詞カードを見ながらじっくり聴いてもよし。「四角革命」「学級崩壊」「さわやか会社員」「テレ東」「地獄先生」あたりの曲を、ここ何日かヘビロ中。
バックの演奏は先鋭的かつ硬派なポストロックのそれなのに、ヴォーカルとメロディはいちごパフェのように甘いというギャップが強烈だ。その昔ナーヴ・カッツェのファースト(ポリスをバックに原田知世が歌っているようなサウンドだった)を聴いたときと同質の衝撃があった。
Perfumeの『GAME』とともに、「萌え文化」から生まれたポップ・ミュージックの精華として語り継がれるであろう傑作アルバムだ。
- 感想投稿日 : 2019年4月22日
- 読了日 : 2009年1月16日
- 本棚登録日 : 2019年4月22日
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