ゴールデンカムイ 絵から学ぶアイヌ文化 (集英社新書)

著者 :
  • 集英社 (2024年2月16日発売)
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本棚登録 : 320
感想 : 9
5

待ちに待ったゴールデンカムイのアイヌ語監修中川さんのゴールデンカムイ関連の続刊。
まず、分厚さに驚き。すごい分量です。
中でも触れられていた通り、前著より漫画からの絵の引用が多いとのことでより漫画からの関連で語る視点で漫画ゴールデンカムイがお好きならスラスラ読み進められると思います。
途中、樺太、ソフィアの話など道外の話になると世界史真面目に勉強しておけばよかったな〜とはなりました。

実写映画を見てゴールデンカムイ熱があがるタイミングでしたのでこのタイミングでの刊行はとても良く、アイヌについてもゴールデンカムイについても興味がより深まりもっと知りたいと思える相乗効果を生んだなと感心します。

実は、この本を読む前はアイヌ単体への興味は持てないかもしれないと大変失礼なことを思っていたのです。
自分がアイヌに興味を持てるのはゴールデンカムイの物語、キャラの魅力があるからでそれなしでのアイヌ文化は面白いと思えないかも、と。
とても失礼でしたし、わかっていなかったなと読んだ後では思えます。
どれほど野田先生が、ゴールデンカムイという作品を作り上げるためにアイヌ文化を尊敬し、調査、取材をし、綿密に作品に織り込ませ確立させたことか。
アイヌの文化あってこそ、アイヌの文化へのリスペクトがあってこそ不思議な偶然が重なり、作品にパワーがより足されたのではないか。そういうことが納得できました。
ゴールデンカムイありなしとかではなく、ゴールデンカムイはアイヌ文化なしでは語れなく、切っても切り離せないのかなと。

単行本の最後の監修、取材協力のクレジットのページを見るたびに、凄まじい量に圧倒されたものです。
週刊連載で?と信じられないほど。

実写映画を見て、原作漫画へのリスペクトと愛を大いに感じました。実写、2時間の映画として再構築して映画としても素晴らしく、漫画原作の実写としてのプロジェクトとしても素晴らしく、同時期にあった悲しい出来事とあまりにかけ離れていて、よほどこの作品に関わる人は本当に漫画原作を愛し、大事にしているのだなと思えました。

改めてこの本を読んだ時に、連載、単行本加筆修正時に監修の方々や取材協力の方々は野田先生の漫画への真摯な取り組みに賛同して協力してくれたのだろうと今更よりその協力のつながりに感動しました。
それについては野田先生がしっかり描きたい気持ちが強く取材を欠かさず真摯な姿勢で挑み続けたからこそ周りも応えたくなったのかなと想像してます。

本著の「おわりに」で触れられていた、「先人がさまざまな記録・資料として残してくれた」(P541から抜粋引用)ことがどれだけ偉大なことか。
大事なものを後世に繋いでいかなくてはと思わされました。命が尽きても、残したいものを残す努力をして、それが繋いでいく奇跡を信じると、いつか未来にそれを引き継いで大事にしてくれる人がいるなんて素敵だな。それなら、カムイも、野田先生に微笑むよなぁと思えました。

北海道に行ってみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年2月25日
読了日 : 2024年2月25日
本棚登録日 : 2024年2月19日

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