印象派で「近代」を読む 光のモネから、ゴッホの闇へ (NHK出版新書)

著者 :
  • NHK出版 (2011年6月8日発売)
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感想 : 66
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印象派の絵は大体が明るい色彩の風景画だと思っていたが、実際は風景に留まらない近代欧州の姿が正負双方の側面から映されているということが新鮮だった。また、印象派絵画の名作の内容だけでなく、当時の歴史的背景にも触れられていて興味深かった。また、この本を読み終わった後印象派以前の古典的作品を調べてみたが、逆説的だが3次元の世界を絵に落とし込もうとした先人の努力に印象派絵画とは異なる凄さを垣間見ることができた。

絵画のことは全然分からないという自負があったが、それらが描かれた時代や作者に関係する背景を知っていると興味を持てるし、楽しむこともできるということを知った。最後の章で矛盾した現実に対してメッセージ性を介在させずにその瞬間の美しさだけを切り取った印象派絵画に対して、背景知識がないと現代人の目で偏見を持ってみてしまうという指摘に身の引き締まる思いがした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 美術
感想投稿日 : 2020年7月26日
読了日 : 2020年7月26日
本棚登録日 : 2020年7月26日

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