風ヶ丘五十円玉祭りの謎 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社 (2017年7月20日発売)
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感想 : 72
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風ヶ丘高校では日々、謎に満ちた出来事が起こる。放課後の教室で抱き合う女子高生たちの謎。食堂裏の片付け忘れられたトンカツ弁当の謎。どの屋台で買い物してもお釣りにご十円玉が含まれる謎。学食や教室、放課後や夏休みを舞台に、不思議に満ちた学園生活を描く連作短編集。

高校生の日常に焦点を当てた “裏染天馬”シリーズ初の短編集。この短編集では殺人事件は一切起こらず、高校生の日常で起こるちょっとした謎を、探偵 裏染の持ち前の推理力で明らかにしていく。というお話。

ただ、数少ないヒントと状況証拠を分析して、丁寧にロジックを紡いていく様子は圧巻で、ミステリの醍醐味が凝縮された五篇の短編たちは非常に満足度は高めでございました。

また本作では、普段、”裏染天馬”シリーズで脇役とされるキャラに焦点が当てられたスピンオフ的な作品でもあり、“体育館の殺人”、”水族館の殺人”と読んできた僕からしたら、いろんな登場人物の普段では見ることの出来ない一面を盗み見することもできて、そちらの点でも満足です。

“風ヶ丘五十円玉祭りの謎"を読む上で注意点を挙げるとすれば...本作だけを読むとなると楽しみが半減する可能性が高いので、本作を最大限に楽しむには、シリーズ一作目の”体育館の殺人”から順に読むことをおすすめします。

またノベライズ的な趣が強くて、キャラクター性を楽しみたい!という方には”裏染天馬"シリーズは非常におすすめです。(ミステリ要素も十分面白いので心配無用です)

興味があれば、ぜひ、手に取ってみてくださいね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年11月27日
読了日 : 2022年11月27日
本棚登録日 : 2022年10月27日

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