悪代官は実はヒーローだった江戸の歴史 (講談社+α新書)

著者 :
  • 講談社 (2010年12月21日発売)
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感想 : 8
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江戸時代を描いたドラマでも小説でも漫画でも悪者の代名詞として使われてしまう悪代官。
しかしこの本を読むと代官への認識が180度変わるだろう。
薄給で多忙ですすんでなりたがる人の殆どいない中間管理職。
困窮した領民の為に私財を投げうったり切腹覚悟で行動を起こしたりした代官のなんと多いことか。
それなのに現在はやたらと町奉行が英雄視され代官は悪いことをするという認識がまかり通っている。
演出と史実を混同してしまうのも悪いといえば悪いが、名代官を主役にしたものがなさすぎるのもどうかと思う。

読めばわかるが、史実にのっとった名奉行は殆どおらず名代官の多さにびっくり。 
そして時代が下がるにつれての町奉行の腐敗ぶりにもびっくり。

そして学校の教科書で習った歴史のいい加減さにも更にびっくり。 
士農工商の厳しい身分制度で一生身分が変わらないなんて事はなく、才覚があれば農民から幕府の要職にまで上り詰めることも不可能ではなかったんだよねぇ。

さらにはかなりの訴訟社会でもあった訳だ。 農民も町民も庶民もなにかありゃぁバンバン訴え出てたと。

こんなの学校では習わなかったもんなぁ。

試験の為の勉強より、こういった話を授業で沢山した方が確実に歴史を面白いと思う人が増えるだろうに。 

とこの手の本を読むと毎回思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2018年
感想投稿日 : 2018年10月28日
読了日 : 2018年10月28日
本棚登録日 : 2018年10月28日

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