まんぞく まんぞく (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1990年6月27日発売)
3.60
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本棚登録 : 312
感想 : 36
4

ちょっとした出来事が、波を呼び、それが大波になって押し寄せてきて逃げられなくなる。さらにその余波がまた繋がりあって翻弄される。この先どうなってしまうのだろうと楽しく読ませてもらった。
直接的ではないけれど自分が原因で、父のように慕っていた人を暴漢から殺された真琴。仇を打とうと始めた剣術が、めきめきと頭角を表していき、次第に剣術そのものに魅了される。旗本の後継ぎという自分に与えられた立場も省みず、我が儘に暮らす。無礼な侍との出会い、信頼する恩人からの優しい説教のお陰で心境に変化が。
主人公がいい人ではなく、壊れている。お鳥見女房の「主要人物がみんないい人」を読んだ直後なのでそれがまた良い。
女々しい女と男らしい男たちが出てくるのも珍しいなあ。
最後の急展開で「?」となってしまったけれど、落ち着くところに落ち着いたので読後感はさっぱりしている。この作家の別の作品も読んでみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年11月7日
読了日 : 2015年11月7日
本棚登録日 : 2015年11月7日

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