はれのち、ブーケ (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社 (2012年12月5日発売)
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本棚登録 : 435
感想 : 30
4

大学のゼミ仲間6人。
その中の10年来の恋人ひと組が
ようやく挙げた結婚式。

でもお互いが渋々でもなくて
結婚するならこの人しかいないと
ずっと心に決めていて。

それでも結婚に至るまでに
10年の歳月が二人には必要不可欠で。

この結婚式を挙げた新郎新婦と
かつてのゼミ仲間の男女4人。
その中の一人と結婚した女性がひとり。

この結婚式を境に
それぞれがそれぞれの視点で
自分のこと パートナーのこと
家族のこと 来し方行く末のことを
じっくりと見据えてゆく。

ある者は 前進を決断し
ある者は 現在の自分を肯定し
ある者は それでも動けずにいる。

ひとりひとりの個性も話す言葉も
すっきりと腑に落ちる。
自分に当てはまることなど少ないけれど
それでもこの人たちの悩みや考え方に
ほんのりと共感できてしまう。

そうして思った。

人は自分がどんなやつかを分かった上で
それを分かってくれる人のそばにいたいと願う。
自分がどんなやつかを分かっているのに
離れずに寄り添ってくれる人を
生涯の友人として選び選ばれる。

夫婦もそうなのだろう。

この物語に集う男や女たちからは
気取りも気負いも感じない。
生きていれば無理もないと思える頑張りや
自分ですら気づいていない素敵な優しさを
みんなが内側に持っている。

誰が読んだとしても きっと
自分がたどってきた足取りを
間違いなかったと信じさせてくれる物語。

読後には 傍らにいる人に優しくなれそう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2015年12月29日
読了日 : 2015年12月29日
本棚登録日 : 2015年12月22日

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