失楽園の向こう側 (小学館文庫)

著者 :
  • 小学館 (2006年3月7日発売)
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本棚登録 : 116
感想 : 15
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相変わらず目からウロコな洞察。
「自分とは余りであり、自由とは2つの義務とセットとして存在する。友人の重要さは義務の中にある許しであり、自由の容認である。」というのを、愛のために2つか3つの丸を書いてみようとか肩の力を抜きながらもズバッと言ってのける。

すごく共感したのは、「自己主張」についての言及。自己主張とは、他人の存在する日常の中で、相手に侵略されたり自分を埋没させないために行われる、「地道な」ものだということ。日本人は普段から自己主張することに慣れていないので、自己主張の「度合い」もわからない。ちょうどいい自己主張には「美意識」が必要で、その美意識を育てるには自己主張がノーマルに存在する社会に生きていないといけない。
 適合に価値をおく社会では、流行を追うことが目立たない自己主張となり、そういう社会は反転して「不適合」に対する不寛容を生む。いじめや日本のネット言論の本質のように思えた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論
感想投稿日 : 2013年12月18日
読了日 : 2013年12月16日
本棚登録日 : 2013年12月16日

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