短編集だった。腕貫シリーズを全く知らずに読んでたので、全くバイアスなしで。
1つ1つの短編は濃度の違いはあれ、おもしろかった。時間をいじった叙述トリックとか。
必然という名の偶然…。あくまで短編を束ねてるに過ぎず、全体を貫くテーマという訳では無いと思うんだけど、本のタイトルにした以上、なんらかの必然性がほしい。すべてが偶然の上に成り立つ事件だったことは間違いない。だけど、それが「必然という名」という言葉で括れるんだろうか?と考えると、ちょっと違う気もする。むしろ「偶然という名の偶然」というか。もちろん事件の背景にはなんの理由もきっかけもないということはありえないから、何かしらの必然はあったんだろうけど、それを偶然で包み込むためには相当な必然性を要するみたいなパラドックスが起きそう。書いていて、偶然ってなんだ?ってなんだかわけがわからなくなる(笑)。
解説を読む前にこの感想を書いたのだけれど、解説には「論理のアクロバット」とあった。ふむ。ネガティブに捉えれば、読む人にとっては、論理的ではない(というか現実的ではない?)という評価になるかもしれないということだろうか。このあたりに必然と偶然の線引や定義があるんだろうと思うし、論理とコンテクスチュアルな要素をわけて考える必要があるということなのかもしれないなと感じた。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年11月6日
- 読了日 : 2023年10月29日
- 本棚登録日 : 2023年10月30日
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