世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史

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  • KADOKAWA (2018年2月16日発売)
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筆者は日本史専攻の世界史教師(駿台予備校など)という方で、標題の本書を執筆するのに最適な人。この本で日本史を捉え直そうという意図で手に取った。世界の中での日本を見るという視点はなかなか新鮮で得るものが多い。以下、目次に沿った要約。
<第1章 そもそも日本人はどこから来たのか?>
 縄文人、弥生人;アイヌ民族
 「混血説」「変形説」「二重構造モデル」
 DNA解析:ミトコンドリアとY染色体→「混血説」に軍配
<第2章 神話と遺跡が語る日本国家の成り立ち>
 稲作伝来は紀元前1000年縄文晩期;周王朝時代
 稲のDNA解析により南西諸島から陸稲;長江下流域から水稲伝来
 「国譲り神話」:オオクニヌシからアマテラスへ平和的政権移行
<第3章 巨大古墳の時代と「東アジア版民族大移動」>
 西欧:4世紀末のフン族(=北匈奴?)の侵入→ゲルマン民族大移動(375年)→西ローマ帝国の滅亡(476年)→フランク王国による統一(800年)
 中国:黄巾の乱(184年)→後漢の滅亡、三国時代→晋による統一→南匈奴の侵略による永嘉の乱(307~316年)→南北朝時代(北魏、東晋)
 朝鮮:高句麗建国(313年)南下→百済、新羅と朝鮮三国時代
 日本:神功(じんぐう)皇后の三韓征伐(391年);大阪平野の干拓と古墳群
<第4章 白村江の敗戦から「日本国」の独立へ>
 百済から仏教伝来→蘇我氏の台頭→蘇我馬子+聖徳太子体制→遣隋使派遣
 大化の改新(645年):中大兄皇子+中臣鎌足
 百済滅亡(660年)→百済再興に援軍を送る
 白村江の戦い(663年):唐と新羅連合軍に敗退
 遣唐使の再開(670年):唐と結んで新羅を伐つ外交方針
 壬申の乱(672年):親唐派(大友皇子)と親新羅派(大海人皇子)の戦い→遣唐使中止
 →天武天皇の頃から「天皇」「日本」正式採用→大宝律令(701年)
 →遣唐使再開(702年):国号「日本」をどさくさに紛れて認めさせる
<第5章 大唐帝国から見た「東方の大国」日本>
 大祚栄(だいそえい)による震国(しんこく)建国(698年)→渤海(713年)へ
 日本はイスラム帝国やチベットと同等の扱い
 藤原仲麻呂の新羅遠征計画の頓挫
<第6章 動乱の中国から離れて国風文化が開花した>
 平安京と地方の無政府状態
 班田収授法→墾田永年私財の法(743)→荘園と不輸不入
 桓武天皇の改革:坂上田村麻呂を征夷大将軍に任命
 安史の乱(755-763年)による唐の衰退
 黄巣の乱(875-888年)→朱全忠によるクーデター→貴族制廃止
 →五代十国(907-960年)、耶律阿保機による契丹(遼)独立
 遣唐使の廃止(894年):菅原道真の建議→国風文化の開花
<第7章 日本史を東アジア史から分かつ「武士の登場」>
 契丹独立→渤海滅亡(926年)
 武士の登場:平将門の乱(939-940年)、藤原純友の乱(939-941年)
 刀伊の襲来(1019年)→藤原隆家らが撃退
 伊勢平氏:平忠盛、平清盛→瀬戸内海賊統率、太政大臣→日宋貿易開始
 以仁王の平氏追討令→源義仲、源頼朝の挙兵→平氏滅亡@壇ノ浦
<第8章 シーパワー平氏政権vsランドパワー鎌倉幕府>
 中国:国家社会主義(隋唐帝国)→市場経済の復活(五代十国、宋代)
 宋→金・南宋(靖康の変1125-6年)→南宋滅亡(1279年)
 元寇:文永の役(1274年)北条時宗、弘安の役(1281年)
<第9章 国際商業資本が支えた室町グローバリスト政権>
 鎌倉幕府は経済失政によって滅んだ:永仁の徳政令(1297年)→信用経済の破壊
 建武の新政(1333年):後醍醐天皇
 室町幕府(1338年)と南北朝統一(1392年):足利尊氏→義満
 日宋貿易から続く日元貿易:寺社造営料唐船(東福寺船、建長寺船、天龍寺船)
 明の建国(1368年):朱元璋=洪武帝。倭寇を制圧。
 日明貿易:足利義満;日本独立を捨て朝貢貿易=勘合貿易
<第10章 ポルトガル産の硝石を求めた戦国大名たち>
 パクス・モンゴリカ(モンゴルの平和)→マルコ・ポーロの『東方見聞録』
 明の永楽帝による鄭和艦隊の西方遠征
 大内氏による石見銀山開発、博多商人神屋寿貞による灰吹法導入
 種子島への鉄砲伝来(1543年)、鉄砲の国産化、火薬原料の調達
 イエズス会によるキリスト教の布教と日本人奴隷の輸出
<第11章 豊臣秀吉の伴天連追放令と朝鮮出兵>
 イエズス会とスペインによる日本征服計画→秀吉の伴天連追放令(1589年)
 スペインの凋落と日本征服の中止
 秀吉の朝鮮出兵(文禄の役1592~93年、慶長の役1597~98年):明の征服目的
<第12章 「鎖国」を成立させた幕府の圧倒的な軍事力>
 関ヶ原の戦い(1600年)とキリシタン大名の処分
 スペインの衰退とオランダ・イギリスの台頭
 オランダ独立戦争(1568~1648年)
 アマルダ海戦(1588年):スペイン無敵艦隊の壊滅
 オランダ東インド会社(1603年~);イギリス東インド会社(1600年~)
 ウィリアム・アダムス(三浦按針)とヤン・ヨーステン(耶揚子=八重洲)
 大坂冬の陣・夏の陣(1614-15年):大砲による攻城戦(カルバリン砲と芝辻砲)
 一国一城令、武家諸法度、鎖国→朱印船貿易(1604年)
 田中勝介らの太平洋横断→メキシコのアカプルコ入港
 支倉常長らの慶長遣欧使節団(1613年)→アカプルコ→スペイン、ローマ
 浪人の東南アジア進出→傭兵として活躍;タイの山田長政の活躍と失脚
 秀忠の禁教令(1612-13年)
 家光の鎖国令(1633年~39年):第一次~第五次→ポルトガルとの断交
 島原の乱(1637~38年):ポルトガル独立戦争中のため,スペイン・ポルトガルの支援を受けられず
 重武装中立としての鎖国政策:オランダを窓口とした西洋文化の導入・消化
<終章 徳川の平和、そして明治維新を可能にしたもの>
 大砲と花火
 徳川の平和(パクス・トクガワーナ)による軍事技術の停滞
 ペリーの黒船来訪(1853年)@浦賀沖
 外国技術の摂取と近代化

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2021年10月12日
読了日 : 2021年11月19日
本棚登録日 : 2021年10月11日

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