民俗学の研究手法であるフィールドワークを介護の場で行った結果と、その過程について。支離滅裂だと思われていた認知症患者の話す内容が整合していたことや、患者同士の話から失われた生活様式があらわになったこと、不自然と考えられていた認知症患者の行動が過去の生活様式では自然な行動であったことが明らかになったことが具体例として挙げられている。これらの具体例は、認知症患者の介護に悩む家族が、患者の行動を理解する糸口になると思った。
間違っていたのは介護者の方であった、という著者の気づきが多くあり、おそらくこれが「驚き」の一部である。後半には施設で介護をする立場にある人が余裕を作り難いことと、その状況下で「驚き」や好奇心をもって患者と関わることの難しさが体験として書かれている。介護について不案内な人も、最終章で介護者の苦心を窺うことができるのではないか、と思った。
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- 感想投稿日 : 2017年8月10日
- 読了日 : 2017年8月10日
- 本棚登録日 : 2017年8月10日
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