イメージの歴史 (ちくま学芸文庫 ワ 4-4)

著者 :
  • 筑摩書房 (2012年3月1日発売)
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本棚登録 : 486
感想 : 14
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絵画、彫刻、風刺画を白人男性”ではない”視点から批評するこの本に相応しく、表紙はアルテミジアのユーディット。漫画だって、西洋古典絵画だってそこには読み方が存在する。その読み方を知れば、美術鑑賞はスルメのように長く楽しめるはずなんですが、こういうのを中学校とかで知りたかったなぁ。
12章はフランスの植民地政策の一環で、あくまで啓蒙的な植民なんですよというアピールのためのイメージ像が分析されている。アジアやアフリカは裸の女性として象徴され、そこにフランスが光を与えたというようなイメージだ。これって、日本がアジアを植民地にしたから現地にもいいことがたくさんあったんだ、という理論と同じですね…
また、この本を読むと権力者がさんざんギリシャ神話のイメージを利用してきたことが分かる。ギリシャのデフォルト騒動の時に、その他EUヨーロッパの国の対応が妙にやさしいなと思いましたが、ここに理由があるのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年12月11日
読了日 : 2019年12月11日
本棚登録日 : 2019年11月10日

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