言葉のちから (文春文庫 す 15-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2006年11月10日発売)
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感想 : 4
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 社会言語学が専門の著者による日本論、日本語論、英語教育論。すでに行われた講演や雑誌のインタビューなどが初出になっており、単行本『アメリカを知るための英語、アメリカから離れれるための英語』を一部改編して文庫化したもの。
 同じ内容の繰り返しになっている点、ずっと読み進めていくと洗脳されそうになる。「あとがき」を読めば、それが全てである。一英語教師として、著者の意見には賛成。でも著者自身も語っているように、著者の意見に了解したとしても誰も実行はしない、というその実行しない1人におれがなりそうだが、できるところは取り入れたいと思う。「異文化理解」で、日本について発信することも「異文化理解」だ、というのは実は英語教育界でも言われていること。来年度からうちの学校では「英語表現」という新規科目が始まるので、ここで日本を題材にするのはどうだろうか、とか、学校設定科目で自由に何かする時間が高3で設定されているので、そこで日本の歴史や文化を英語で学ぶのはどうだろうか、というアイデアは持てた。とは言え、今「英語会話」という科目を教えているが、結局海外旅行で使える表面的な英語をあれこれ教えて覚えろ、と言っているだけで、何とも物足りない。かと言って生徒のレベルを考えてもそれ以上に発展しそうにない。おれの力量不足があるにせよ、本当に教育としては薄っぺらいな、と教えているおれ自身が思ってしまう。そして海外行ったらこんな感じです、ALTにアメリカのパーティーについて語ってもらいます、という授業。著者が見たら呆れて言葉も出ないだろう。著者の言うような授業が展開できれば、本当に面白いのだけれど、という感じ。確かに、アメリカはモデルにするような国ではないというのもよく分かる。日本こそが地球を救う、と言えるかどうかはよく分からないけど、それくらいの意気込みがないからダメなんだということだろうか。好き嫌いが分かれる本だと思う。(13/01/09)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文庫
感想投稿日 : 2014年1月9日
読了日 : 2014年1月9日
本棚登録日 : 2014年1月9日

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