マーク・ピーターセンの見るだけでわかる英文法

  • アスコム (2013年10月12日発売)
3.55
  • (1)
  • (6)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 79
感想 : 7
4

 岩波新書の『実践日本人の英語』の「それぞれのトピックの要点を図解化し、英語の論理を『絵』としてイメージできるようにしています。解説を『先生』と『生徒』の対話形式にして、初級者でもより気軽に英語の基本を学んでいただけるように工夫してみました。」(p.5)ということらしい。
 久しぶりに良いと思う学習者向けの英語本に出会った気がする。というのは、英文法の全部を網羅するのではなく要点だけをできる限り見やすく読みやすい形と量で扱い、英語が苦手で嫌いな人でも通読できそうな本、という意味で、良い本だと思う。もちろん、内容的に著者独自の(変な)用語とか見方とか、そういうものも含まれておらず、オーソドックスであるという点も、良いと思った。たぶん中3くらいで宿題で読ませても、あるいは2020年の新学習指導要領になったら中1くらいで通読させても良いかもしれない。進学校だったら中学校入学前の春休みの宿題とか、いいかもしれない(生徒もとりあえずちゃんと読むだろうから)。
 あとは気づいた点のメモ。「週末はいつも何をしていますか?」でWhat do you always do on weekends?は変、という話(p.21)。確かに変なのだけど、変であることを示したことなかった。というかおれも教わったことなかった。これを今のおれの生徒に訳させるとちゃんとusuallyって訳せるんだろうか?あと関係詞を2文に分けて説明する方法で、従来のI hate Americans. + Americans taken an arrogant attitude.でI hate Americans who take...にはならなくて、I hate Americans, who take...になるはずだ(p.39)という話は、確かにもっともだけれど、まあそれは関係代名詞が代名詞として機能していることを説明するためだけの手段として用いるものだから、そこは目をつぶって欲しい。もちろん制限、非制限を理解することは大事なのだけれど、とりあえずは関係代名詞を使った文の形を作れることを先決にするので…。あと前置詞を取り上げていることはものすごく好感が持てるが、やっぱりこういう「感覚」みたいなことを説明しようとすると、結構その説明を理解するのは難しい。例えば「ride onを使うtrainやairplane、bus、shipなどの乗り物に共通しているのは、1人の乗客として、意識上その乗り物の運転とは関係なく、ただ貨物のように『その上に乗せられ、運ばれている』という感覚」(p.111)とか、ride in a car, taxiなどは「たとえば、止めてほしいと思ったらだいたい止めてもらえる、というようなつながり」(pp.111-2)で、「つまり、ride inとride onの違いは、乗る人がその運転に対して抱く心理的な距離感から生じる」(同)とかはちょっと難しい。ride on a bikeとかhorseはどうなるんだ、とかそういうことを生徒は考えてしまうと思う。untilとtillの違いで「tillは、書き言葉よりも話し言葉に使われる傾向が強い」(p.127)らしい。どこかで読んだか、読んだとしても忘れていた。「その写真は誰だかわからないが、この写真は妻だ。」を英訳して"I don't know who that photo is of, but this is a photo of my wife."の"that photo is of"はなかなか英訳できないと思った。同じように、これは授業でやったのだけど「私はパスポートを盗まれてしまった」みたいな英訳で「『盗まれて困った人』をonの目的語にすれば、日本語と同じ感じの表現になります」(p.145)という部分、"My passport was stolen on me."のon meが言える人も、相当英語力がある人だと思う。
 巻末には「学習チェックシート」と言うのもあって、英文法の「理解」面のチェックに、この本は使えそうな気がする。もちろん運用面までカバーできる訳ではないので、それはトレーニングが必要なのだけれど。(18/12/23)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2018年12月23日
読了日 : 2018年12月23日
本棚登録日 : 2018年12月23日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする