虎口からの脱出 (新潮文庫 か 22-2)

著者 :
  • 新潮社 (1990年1月1日発売)
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本棚登録 : 163
感想 : 16
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初刊時以来の再読。
景山民夫といえば、『遠い海からきたCoo』が代表作とされているが、大人の娯楽に徹した本作品は隠れた名作だと言える。
舞台背景は張作霖爆殺という史実、そこに現場を目撃した麗華、鬱屈を抱えた軍人西、軍人あがりの運転手オライリーの三人が上海に向けてデューセンバーグを駆って中国を疾走する。
大掛かりな捕獲作戦に対して、三人で立ち向かう姿や会話の端々に古きよき冒険小説の香りが漂っている。
複雑な現代冒険小説と比べ、主人公サイドは明るいムードであり、悪役は悪役らしく当然の報いを受ける。
シンプルな物語であるが、久し振りに安心して読める冒険小説だった。
秋の夜長に、ウィスキーを飲みながら読書するのに相応しい大人の作品です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 冒険小説
感想投稿日 : 2019年11月16日
読了日 : 2019年11月14日
本棚登録日 : 2019年11月14日

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