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著者 :
  • 早川書房 (2013年7月25日発売)
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本棚登録 : 348
感想 : 40
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「天才」の安売りというか、どうにも都合の良すぎる展開で、面白さを欠いていると思った。過剰なほどに説明のすぎる文章も拙いと感じた。

まず、「先生」と「天才少女」がこの物語の核となる人物だが、2人が登場するまでの序盤が長すぎる。全体の4割ほど読み進めないと物語の核心に迫れない。その序盤も、主人公が現実世界と小説世界の違いをひたすら語るだけで、まるで説明書を読まされているような気分だった。

また、その主人公は都合よく物事を解釈できる「この小説にとって適度に便利な」有能さをもっている。加えて、世の中をつまらなく感じてるという中二病丸出し。
そして「先生」が言うことは常に絶対の正しさで、その正しさにただ振り回されるだけ。秀才だが天才ではない、みたいな位置づけで、後半に登場する人物たちにただ圧倒され続けるだけ。終盤に1個活躍するところはあるが、前フリが雑すぎて、読む前から展開を先読みできてしまった。

あと、この小説世界では「クラス」という格付けがあり、暴力的な上下関係しか存在しない。日本が発展したとしても、さすがにその設定は現実味無さすぎるでしょう、とナンセンスを感じた。

多分だけど、この小説は「真の天才は何を目指すのか」みたいな、超越的な頭脳の行く先を語りたいんだろうなあとは思ったんだけど、それ以外のリアリティを削りすぎているように感じた。
うーん、久しぶりにつまんない小説を引いたなあ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 書籍:小説・エッセイ
感想投稿日 : 2015年10月10日
読了日 : 2015年10月10日
本棚登録日 : 2015年10月10日

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