3度目の読了。
いやはや、とにかくとにかく面白い。個人的に中井拓志氏の最高傑作。
中井拓志氏は面白いトピックを選び、それらを組み合わせることに関しては天賦の才があると思っている。それは本作以外の作品でも遺憾なく発揮されているが、本作は氏の作品の中では珍しくかなり現実的な設定となっている点が目を引く。
今となっては珍しくはない学校裏サイトというテーマをいち早く掲げ、そこに集団心理、宗教、洗脳、右翼といったスパイスを加えることで、耽美的で吐き気をもよおす、邪悪で不安定な社会を描き切った。最近のネトウヨといった現象を見るに、中井拓志氏に先見の明があったと賛辞を送りたいくらいだ。
ゲーム的な謎解き要素のおかげでページを捲る手が止まらなかった前半部に比べ、やや冗長な中盤は惜しいといえば惜しい。が、虚無的なラストはやはり印象的で、物語を締めくくるに相応しい。
「月の帝国」が明日にも現実に現れる可能性があるかと考えると、大変ホラーである。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
本: ホラー
- 感想投稿日 : 2014年6月14日
- 読了日 : 2014年6月14日
- 本棚登録日 : 2014年6月11日
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