茨木のり子詩集 (岩波文庫)

制作 : 谷川俊太郎 
  • 岩波書店 (2014年3月15日発売)
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本棚登録 : 1405
感想 : 85
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※「茨木のり子全詩集」(花神社)が在庫なしで登録できなかったので仮登録。(岩波の方に載ってないやつあるかもしれません)

・よかった編
「自分の感受性くらい」
初めて読んだ時は教科書に載ってたんじゃないかなー。言い訳を許さぬ”ばかものよ”に当時怖くなったことを思い出す。というか根性なしなので、すべて自分の責任で逃げ場がないというのは今も怖い。でも外野がどうあれ、やっぱり自分の幸せを追求するのは本質的に自分しかいないよなあと。怖いけども手放せない名句。

「マザー・テレサの瞳」
”外科手術の必要な者に繃帯を巻いて歩いただけ~”のフレーズにそうだろうなあ、と思う。だって彼女が救いたかったのはおそらく命じゃなく魂だろうから。最近闘病記とか読んだせいか、終末医療とかQOLとかいう単語が浮かぶ。しかしうっすら理解はできても、波打ち際に砂の城を築くような行為を、生涯かけて実践し続けた彼女を”静かなる狂”というのがいい得て妙だなーと思った。

「獣めく」
えっこれも茨木のり子なの?下手なエロ本よりそわそわするんですが。亡き旦那さんへの想いと思い出を綴った遺稿の1篇らしい。発表する気があったのか分からない私的な詩だからなのか、生々しいというか率直で、よっぽどぞっこんだったんだなあと違う一面を見たりもした気が。

総評
正直よく分からない詩もあった。昔読んでて懐かしい詩もあった。激しい詩も優しい詩も色々ごちゃまぜで、全部は消化しきれない感がある。でもその分読み直すごとに発見がありそうというかその時の自分に引っかかる詩があると思うので、今いいなと思った詩だけでも心にとめて、また時間をおいて読みたいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2020年5月27日
読了日 : 2020年5月27日
本棚登録日 : 2020年5月27日

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