自閉症者からみた視点はこんな感じなのかと驚く。会話すらパターン化して意識的に行っていた。なるほど、これは普通に生活するのは大変だと思う。また、ノーマル(正常)の人ならとか、ノーマルの人だったらと、意識しすぎてしまうところも、物事をより難しくしていると思った。
自分の置かれている立場を、『ノーマルを求められる反面、ありのままの自分を愛せと言われる』とルウは表現した。確かに、自分ならルウに都合よく場面場面に応じて相反することを言ってしまいそう。また、その時々はきっと自分は真剣に相反することを言っているのだと思う。ルウの言葉にはこれと同様にギクリとさせるものがある。
自閉症者としてのルウに長い間(ページ数)寄り添っていたため、この結末は寂しかった。良かったねって気にはなれない。言うならば、すごいですね、くらいよそよそしい感がある。
作中で亡き両親は治療を望むのかという問いがある。私は逆に現在のルウを両親はどう感じたのか知りたい。喜ぶのか、寂しく感じるのか。自閉症の子を持つという著者はどう思ったのだろうか。すでに他界している両親という設定に著者の考えが隠れているのだろうか。
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- 感想投稿日 : 2016年12月8日
- 読了日 : 2016年12月8日
- 本棚登録日 : 2016年11月18日
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