夏の庭-The Friends- (HDリマスター版) [DVD]

監督 : 相米慎二 
出演 : 三國連太郎  坂田直樹  王泰貴  牧野憲一  戸田菜穂  淡島千景  笑福亭鶴瓶  寺田農  柄本明 
  • オデッサ・エンタテインメント
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本棚登録 : 50
感想 : 13
4

 相米慎二が、子どもたちと老人のやりとりを丁寧に描いた良作。終盤、井戸から虫たちが出て行くさまは、いささかファンタジーに寄りすぎかと思ったが、これはこれでいい気がした。老人が、次第に心を開いていく様子は、やはり演出と役者の腕。老人が亡くなり、火葬場で長らく離れていた妻が正座をして、「お帰りなさいまし」とお辞儀する演出は、やはり感性がほとばしっている。


【ストーリー】
小学6年生のサッカー仲間、木山諄、河辺、山下の3人は、ふと人の死について興味を抱き、近所に住む変わり者の老人・傳法(でんぽう)喜八に目をつけ、彼がどんな死に方をするか見張ることにした。荒れ放題のあばら家にひとり住む様子を観察する3人に気づいた喜八は最初は怒り出すが、やがてごく自然に4人の交流が始まる。老人の指示通り子供たちは庭の草むしりや家のペンキ塗りを行い、庭にはコスモスの種を巻き、家は見違えるようにきれいになっていった。子供たちは喜八から、古香弥生という名の女性と結婚していたが別れたという話や、戦争中、兵隊をしていた時にジャングルの小さな村でやむを得ず身重の女の人を殺してしまった話などを聞く。3人は喜八の別れた妻を探し出すことにし、やがてそれらしき人を探し当て老人ホームに訪ねるが、部屋には担任の静香先生がいた。先生は何と弥生の孫だった。弥生はボケているのか夫は死んだと答えるばかりだったが、静香は喜八は自分の祖父に違いないと確信し、彼を訪ねる。だが喜八もそれを否定した。そんなある日、子供たちはサッカーの試合の帰りに喜八の家に寄ってみると、彼は既に息絶えていた。葬儀の日、3人の子供たちや市役所の職員、遺産のことばかり気にする甥の勝弘らが見守る中、静香に連れられ弥生がやって来る。じっと棺の中の喜八の顔を見つめていた弥生は、生きている相手に向かうかのように正座して「お帰りなさいまし」とお辞儀した。数日後、取り壊しを控えた老人の家を訪ねた子供たちは、暗い井戸の底からトンボや蝶、ホタルが次々と飛んでいくのを目撃する。それはまるでおじいさんが3人に別れの挨拶をしているかのようであった。
真夏の神戸を舞台に、ワンパクざかりの男の子3人と老人との交流を描くドラマ。湯本香樹実の同名児童小説(福武書店、新潮文庫・刊)を原作に、「お引越し」に続いて相米慎二が監督。脚本は「夢二」の田中陽造、撮影は「ワールド・アパートメント・ホラー」の篠田昇が担当。主演の小6トリオはオーディションにより選ばれた。94年度キネマ旬報日本映画ベストテン第5位、同読者選出日本映画ベストテン第8位。1994年3月12日より大阪・京都・神戸先行公開。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 映画
感想投稿日 : 2016年1月8日
読了日 : 2015年8月30日
本棚登録日 : 2015年8月30日

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