新装版 天璋院篤姫(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2007年3月15日発売)
3.66
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本棚登録 : 1618
感想 : 163
5

下巻。

いきなり家定さま薨去…
家茂と、その嫁をめぐる葛藤。
自分より身分の高い嫁との軋轢などなかなか大変なことがたくさん。
天璋院を見ていると、我慢とか耐え忍ぶという言葉が浮かんでくる。
京方江戸方に分かれての戦いを、大奥の総帥として纏め上げる苦悩…。
大変だったろうなあ。この作品は全編通して天璋院がかっこいい。
この作品について宮尾さんは「天璋院礼讃」と言っているけど、まさにそう。
女の悲しみとか女の強さとか、政治の駒になりつつも自分らしく生きていくすばらしさを天璋院が教えてくれるような気がします。

あ、そういえば大河では最後に忠敬とお幸に会えるシーンがありますが、それはここではないですね。現実的にも難しかったのではと思います。
だから大河は、ご都合主義的でもあるけど、「救い」として、二人に再び会えたのかな。ほんと現実的じゃないけど、でもいい「フィクション」だったかな、と。
だって史実では会えない。亡くなる前、天璋院は初めての旅行を計画しており、それがたしか薩摩だったはず。江戸城という牢から出て、(牢という言い方が正しいのか分からないけど)ようやく自分の好きなことを出来るかと思っていたところに突然、死が訪れた。かなしい。だからせめて「会えた」とすることが救いになったんじゃないかと思うんですよねー。
あと「慶喜擁立」についても大河は御台所にするために養子にして、その後斉昭をうまく操縦するために(?)慶喜擁立を唱える…みたいな流れに大河ではなってた(様な気がする)んですが、それはたぶん最近の定説に沿ってますね。斉彬が慶喜擁立を唱える以前に、天璋院は斉彬の養子になってますから、「慶喜擁立のための養子縁組」では順序が逆ですからね。原作は昭和59年とかなので今と定説が違っていたのでしょう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史もの
感想投稿日 : 2011年10月13日
読了日 : 2011年10月13日
本棚登録日 : 2011年10月13日

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コメント 5件

mkt99さんのコメント
2012/09/13

大河の方で、江戸開城しばらくして忠敬とお幸に会うシーンはやはりフィクションだったのですね。確かにこのシーンはとても良い「救い」でしたね。
そうそう、確かに斉彬は、斉昭をうまく操縦するために慶喜擁立を唱えていました。その後、ドラマの方は篤姫は慶喜を敬遠しだして、少し、あれっ?ってな感じでしたけど・・・。そこまで逆転するものかと。(>_<)去年はCSで本木の「徳川慶喜」をずっと観ていたのでギャップがありすぎて。(笑)
小説の方の家定は、堺雅人のような感じなのでしょうか?(笑)それとも史実通り描かれているのか気になるところです。

ブリジットさんのコメント
2012/09/14

コメントありがとうございます!
こんなときに、メッセージみたいな機能があれば…!自分のレビューにコメントしてちょっと変な気持ちにならずにお返事できるのに!と口惜しいです。

会えなかったようですね。今のように気軽に旅に出れるような時代じゃなかったでしょうし…。優しい嘘、という感じでしょうねー。
記憶が確かであれば、原作では初めて会ったときに目も合わさないとかでそもそも好きではなかったような。天璋院は一本気のある女性として書かれているので、そういう人物が嫌いだと。斉彬が「将軍にふさわしい」といっている言葉に疑問が出てきたりして。政治の道具にされていると気付く(というシーンがあるんです)伏線にもなっているのかな。あ、家定さまはあんまり出てきません(笑)。大河のような語らいとかラブラブとは無縁の、孤独同士が寄り添う…のか!?ぐらいの(笑)。ただ天璋院の頭のよさと人物を信頼していたのは確かかと。アヒルはおっかけてなかったような気がします(笑)

慶喜さまか~
情報が足りなくて、あんまりいいイメージがないです…。

mkt99さんのコメント
2012/09/15

返信いただきありがとうございます!
えー!?家定はあんまり出てこないのですかー。それは意外でした・・・。そうならラブラブシーンなんかもないですよね。(笑)アヒルも無しですか。(笑)家定のアヒルおっかけと家斉のカニつぶしは、徳川将軍家では割と有名な話だと思っていたんですけど・・・。(^_^;
お幸とは本当はこっそり会っていれば良いですね。(^o^)
やっぱり和宮との嫁姑争いはあったのでしょうね?ドラマではどっちが立場が上か?みたいな争いをしていましたが、本当のところは天璋院の方が上なんでしょうかね。
あと、ドラマでは稲森いずみさんの滝山が良かったです。(^o^)

ブリジットさんのコメント
2012/09/16

アヒルおっかける殿様は直接的なシーンとしてはなかったと…思います!こんな噂が、みたいな話はありましたが(たぶん!)

原作の天璋院は大河ほど好き勝手に動き回るタイプではないので(むしろ考え込む口数の少ないタイプ)あんなに表面的に言い合ったりという描写はなかったです。周りが、江戸方京方できいきい言ってるのを諌めて、冷静に対応してます。忍耐!という感じ。リーダーですね。いや、ボスかな。絶対的な信頼を得ている女性です。大河では…うーん、なぜみんながそこまで彼女を信頼できるのかわからないですが、こちらではそれも然りと思えます。

滝川さま良かったですよね~~
私はドラマの本寿院さま好きです(笑)かわいい

mkt99さんのコメント
2012/09/16

現在に伝わっている天璋院の写真をみたことがありますが、まさに口数は少なそうですが意思が強そうなボスタイプにみえました。(笑)
逆に、ぽんぽん飛び回る宮崎あおいのキャラとはギャップがあって・・・。(>_<)確かにドラマではなぜ滝山をはじめ大奥の信頼を得たのだっけかな?という疑問はありましたね~。
そういえば、小松帯刀との関係も描かれていましたが、あれもフィクションなんでしょうね?ドラマでは囲碁シーンをお約束にしていましたが、少々やり過ぎ感も・・・。(笑)

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