意外と歌集が好きです。
きっかけは白州正子の「私の百人一首」だった。
「訳がないと和歌は意味が分からない」という思い込みをぶち壊してくれた、個人的なバイブルだ。
…その流れでこの「みだれ髪」を読んでみた。
全部を読んだわけではない。しかし与謝野晶子の短歌はドラマティックで印象に残るものがある。恋に一途な彼女の、心からにじみ出たみたいな歌。なんとなく和泉式部と似てるような気がする。恋に素直というか…。自分にないものだから、素直に表現できる与謝野晶子がまぶしい。
この本には載ってないけど、
御空(みそら)より半(なかば)はつづく明きみち半はくらき流星のみち
という歌があって、(意味はそれぞれ汲み取っていただければ…)なんだか和泉式部の
くらきよりくらき道にぞ入りぬべき遥かに照らせ山の端の月
という歌となんか間違うんですよね…。
だからかな、なんとなく作者のふたりのイメージもかぶるんです。
共通点は「激しい恋の歌を詠む」というところだけですけど。
そういえばこの本には有名な作品も収録されているのでなんだかお得です。
たとえば最近CMでもおなじみの
やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君
も収録。反戦歌として教科書にも載っている「君死にたまふことなかれ」も収録されています。280円…安い。強いて言うなら、初句での索引がほしかったなー。「初句しか思い出せない…」という時、初めから探さないといけなくなるので。
和歌とか、すっげー好きな人からすると私の鑑賞など眺めているだけにすぎないけれど、例えば季節の変わり目だとか、心が落ち着かないとき、人恋しいとき(笑)など、今の気持ちにぴったりな歌を探したくなります。ただ訳をよんで「ふーん。」じゃもったいない。訳をよまず、原文をなんども咀嚼すると、なんとなく歌の気持ちが分かるような気になります。白州正子先生のぱくりですけど(笑)それに慣れてしまうと横についてる訳が薄っぺらく感じてしまうのが難点ですが…。
- 感想投稿日 : 2013年9月14日
- 読了日 : 2013年10月1日
- 本棚登録日 : 2013年9月13日
みんなの感想をみる