伊坂幸太郎 著
モダンタイムス(下)読了。
(上)での張り巡らせられた伏線の回収に期待が膨らみつつ、読みましたが…何だろう?この感覚?
府に落ちないというのではなく、府に落ちる感覚にガッカリするような…。勧善懲悪の世界なんて、やはり理想なのか…小説の中だけでも、それを求めてた自分が現実に戻されたような気分
主人公の渡辺の友達、作家の井坂好太郎が亡くなるシーンは結構、名言を吐きつつ、なかなか死なず、最後の頼みを聞いてくれと残した遺書には[馬鹿が見る」と書かれてた辺りは笑ってしまったが、真相に近づくのでは?と思った永嶋丈との闘いの場面は、結構長くて、伊坂さんの作品で少し、ダレてしまったのは初めてかも…。
[アリは賢くないが、コロニーは賢い。]
仕事が次々に引き継がれ、作業は細分化される。
効率が図られ、最終的には「良心」や「罪悪感」は
「昔そんなものがあったんですよね」と憂える人間すらいなくなるほど綺麗さっぱりと、消える。
「そういうことになっている」と言う言葉には、主人公の渡辺同様、抗いたくなる気持ちが沸沸と湧いてくるが…解決にならない事も事実に落胆してしまう。この作品は「魔王」の完璧なる続編だと思った。『魔王』読んだ時も、消化出来ないモヤモヤした思いが残ったような気がする この社会の仕組みに対する問題提起した作品だ。
答えを小説に求めてはいけないような…
何だか、見えない大きな渦に巻かれて、ストンとそこから落ちてきたような気分だ、、
「考えろ、考えろ」 結局、自分で自分なりの答えの中に生きてゆかなくっちゃならないならないって事だよね。
自分なりの答えがあるとしたら、作中で引用されてた 「ライムライト」のチャップリンの台詞
「人生を楽しむには、勇気と想像力とちょっぴりのお金があればいい」って感じかな。
「勇気はあるか?」って言葉におされて、読み続けた作品 私には、この言葉に反応してしまう妙な思い出が深く心に残っているからだ。その私個人的なエピソードは置いておくことにして…。
勇気って突拍子もない行動に出る事じゃない!冷静な判断のもとに起こす行動のことだって思い知らされた過去の思い出とともに、有り得ないような超能力があってもなくても、人は、色んな経験や人の触れ合いを通して、感じ生きてゆく生き物 謎めいた妻の佳代子も結局、そう、悪い奴じゃなかった(少し残念でもあり、ホッとしたような気分(笑))
- 感想投稿日 : 2020年9月17日
- 読了日 : 2020年9月17日
- 本棚登録日 : 2020年9月17日
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