有川さんの作品を読んでいると「澄み切った空気の中を軽やかに、真っ直ぐ歩いていく」という雰囲気を感じてしまいます。特にこの作品を読んでいる間はその雰囲気を強く感じました。
有川さんの高知愛がギュッと詰まった作品。高知愛をベースにしてお役所の事なかれ主義、いわゆるお役所仕事のことが赤裸々に描かれ、それを何とか変えていこうとする。外側からの刺激とそれに呼応するお役所内部の自覚と成長。少々甘めの恋愛(胸キュン?)の成り行きと共に高知の名所がいい塩梅にストーリーの中に散りばめられていました。
登場人物たちのキャラがとても良かった。相互に刺激し合って成長していく。何とも言えない清々しさを感じてしまう。
作品に描かれている県庁のお役所仕事は高知に限ったことではないでしょう。全国津々浦々どこでも似た様なものだと思います。ただ、民間であれば違いがあるのか?と問われると、「う〜む」と考え込んでしまう。民間企業で働いていても、日常のルーティーンとは異なるプロジェクトにチャレンジするときには様々な壁が立ちはだかり、プレッシャーを感じるものですよね。世の中何をするにしても規則、予算、成果という課題がついて回ります。
なので、お役所・民間を問わずどの様な立場であっても共感できる作品ではないかと。ただ、個々人の意識問題の様な気がします。組織によって華べは築かれているのだけれど、意識の持ち様によって成長することは出来るのだと感じ入りました。(現実には難しいのですが、、、)
日頃当たり前のこととして目の前を素通りしていたことでも、異なる目線で見ると輝いて見えることがある。この作品では高知の名所とともに観光という観点から様々な気づきを得ることができました。
後味が良い作品でした。
- 感想投稿日 : 2023年11月1日
- 読了日 : 2023年11月1日
- 本棚登録日 : 2023年11月1日
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