君たちに明日はない (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2007年10月1日発売)
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感想 : 581
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リストラ請負会社に勤める主人公・村上真介33歳。

不景気のあおりを受け瀕死状態に陥った会社に乗り込み、退職金の上乗せ&部署の閉鎖・統合や過去の不正で脅しをかけるなど、アメとムチを使い分ける巧みな交渉で、次々と退職者を増やしていく(なんと恐ろしい会社)。

リストラを宣告する人と、される人の双方の悲喜交々を中心に、話は展開する。
リストラ対象者が、仕事を続けるか辞めるか、必死に考え苦悩する姿はなんとも言えず切ないが、なぜか滑稽で親しみある個性的なキャラクターが際立っているせいか、今日的な重いテーマにかかわらず、すらすら読めてしまった。

本筋とは別に、主人公・真介が、リストラ候補者の建材メーカーに勤務する8歳年上の陽子(41歳)と出会い、恋愛関係になる伏線が、いい感じで面白い。

シリーズ化となっている、続編「借金取りの王子」、「張り込み姫」も読みたくなる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年9月11日
読了日 : 2012年9月10日
本棚登録日 : 2012年9月11日

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