「まとも」とはなにか?
最初に感想を述べると、この鼎談本は優れて洗練された現政権批判であり、非常に示唆に富む本である。しかしおそらく「悪貨は良貨を駆逐する」の言葉通り大多数の人間や政権担当者の耳には入らないであることも予見できる。
さて、鼎談でなされている議論の特筆すべき点であるが、どうも我が国が知らず知らずのうちに抱えている問題「財政均衡主義の暴走による、デフレ不況経済」「グローバリズム市場の蔓延による社会の不安定化」は全世界的であることである。
それに先進国は気づいてはいる、にも関わらず米国は議会のねじれより欧州はユーロの呪縛により手を打てないでいる。
一方、我が国はデフレ脱却を掲げた政権が、先の二度の大きな選挙で大勝しねじれを快勝したにも関わらず、そのトレンドに気づいているのかいないのか極めて不透明な政策を打ち出している。
そういった我が国の状況に忸怩たる思いを抱きながらも、比較的若い著者たちは、ニヒリズム的に陥ること無く現実的な提言を多種多様に展開していく。
最後に「外に打って出ろ」だの「内向きになるな」だの「今の若者は覇気が足りない、ハングリー精神がどうたら」「世界に目を向けるとことが大切だ!!」などインフレ期の成功体験による精神論がいつまでも現代の我が国の障害になっていることに、そろそろ気づいていただきたいものである。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年12月8日
- 読了日 : 2013年12月8日
- 本棚登録日 : 2013年12月8日
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