夏の王国で目覚めない (ハヤカワ・ミステリワールド)

著者 :
  • 早川書房 (2011年8月10日発売)
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本棚登録 : 322
感想 : 67
4

三島加深なるミステリ作家に心酔した美咲は、ファンサイトでファンと交流を重ねる。そんなとある日突然メールで舞い込んできた招待状。それは「架空遊戯」なる、推理劇への参加の誘いだった。謎を解いた暁には、その作家の未発表作品をプレゼントするという。だれがなぜそんなことを企てたのか。美咲は参加を決意するが、劇のはずのその場では、次々に人が消えてゆき…
…という出だしは読みやすくはあっても新鮮味はそれほどかもしれません。けれども次第に加速する、現実と劇との境目の曖昧と次々に起こるサスペンスが、読み出す手を止まらせないという感じで、結構引き込まれて読みました。だんだんと人物にも個性が出てきて、淡い恋模様も良いスパイスになっていて、なかなか濃いお話です。種明かしそのものは少しロマンティックなニュアンスになりましたが、嫌いではありません。実はXXもXXでないというのはあら、と思いましたが、読後感も悪くさせないし、良かったかも。
ラストの幕切れの仕方が、清清しくて素敵でした。美咲がいろんな意味でひとつ成長し、あらたな道をいこうとしているのがくすぐったくも微笑ましくて、良い感じでした。その後、がいつか読めたらいいなと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年7月13日
読了日 : 2012年7月11日
本棚登録日 : 2012年7月12日

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