世界一やさしい依存症入門; やめられないのは誰かのせい? (14歳の世渡り術)

著者 :
  • 河出書房新社 (2021年8月24日発売)
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依存症のおおまかな仕組みは聞いたことがあったものの、
きちんと本を読んだのは初めてかも。
専門的な本を読むのもいいが、
小中学生向きの本を読むのも、概要を手早く知ることができるので良いと思った。


依存症は誰でもなり得ると思った。
依存症とは、
タバコ、アルコール、薬物、摂食障害(過食や虚飾)
ゲーム、ネットなど、現代社会にはあらゆる依存性が潜んでいる。


【気づき】
第3章依存症の仕組みと歴史

・依存症とは、脳がハイジャックされた状態


・脳の報酬系の回路を直接刺激して、
快感をもたらす。

前段階にあるはずのもどかしさやしんどさを
飛ばしていていきなり快感もたらしてしまう。

苦労なしに得られた快感はインパクトがあるから、
その薬物を使った人は、
再び同じ快感を得ようとする。

次第に薬物による快感に慣れてしまう。
なりきってしまうと、
今度はその薬物のない状態に耐えられなくなる。


・依存症になりやすい人、なりにくい人
これまでの人生で天然のドーパミンの心地よさたくさん体験した人は、薬物によるドーパミンを体験してもそれほどその快感に魅力を感じない人がいる。
薬物の快感よりも、

しかるべき苦労のプロセスを経て人から認められたほうがいいなと思える。

しかし、
人から褒められたり
認められたりする機会があまりなく、
何を言ってもダメ出しされてきた人は、
天然のドーパミンの心地よさを
十分に体験していない。
そうすると、
薬物によって得られた場合の衝撃に屈しやすくなる。


・アルコホリックス・アノニマスの誕生

1930年ごろ
アメリカでは、
アルコールの乱用を医学的に治療できないか試みていた。
その時に、
ビジネスマンのビルと外科医のボブは出会った。

2人は、
お酒を止められず、情けない過去を暴露しあった。
すると、
その晩お酒なしで朝を迎えることができた。
語り合うことでお酒を遠ざけることができ、
とうとう2人とも断酒に成功。

1935年。
アルコホリック・アノニマス(直訳するとな名もなきアルコール依存症たち)が誕生。
これらの特徴は
自助グループ。
自助グループとは、当事者が乗り越えあって、問題を乗り越えていこうとする集まりのこと。

依存症の有効な治療法の1つとして活用されている。




・日本の薬物対策は、主に戦後から。
戦時中は、
日本軍の兵士の士気を高めたり、軍需工場の人々に夜通し労働するために覚せい剤を利用していたこともある。

戦後、
日本の薬物依存対策は、
規制で解決してきた。

しかし、
本当に必要なのは、
治療と支援。

日本は治療と支援がまだまだ不十分。





第4章僕が僕であるために 行為への依存①


・スマホの画面に見入っていれば、自分の部屋に閉じこもっていると同じ気分になれる。


・ゲーム依存症になってしまうのは、リアルな人間関係につまずいている子


・リアルな生活のほうの風向きが変わると、自然と行為依存から手放していく場合もある。



・インターネットのデメリット

①ネットの情報を何も考えず
そのまま受け入れてしまうリスク

人間関係から孤立していて、
なおかつ発達障害の傾向を持つ子は、
人の心の内を想像するのが苦手。

リアルはリアル、ゲームゲームと
切り分けられるなら心配ないが、

ゲームのリアリティが現実をしのぎ
人を傷つけることに抵抗感が
下がってしまう可能性は否定できない。


②情報の速さ




第6章依存症の根っこにあるもの

依存症とは人に依存できない病

悩みや苦しみ、あるいは思い込みがあることで、
人と人との関係に端を発している。

依存症の根っこには、
必ず歪んで人間関係がある。

こうした歪んだ人間関係は、
否定される関係、支配される関係、本当のことを言えない関係の3つのタイプがある。

何をやってもダメ出しをされる否定される関係は人の心を傷つける。
否定される関係や支配される関係は人を嘘つきにする。
結果、本当のこと言えない関係になる。

依存症になる人の多くは、
日々こうした環境の中に身を置き、
自分を大切にする気持ちを失ってしまう。


つまり、依存症とは人に依存できない病

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年11月14日
読了日 : 2021年11月19日
本棚登録日 : 2021年11月14日

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