ACは正式な精神医学的な言葉ではないが、心理学的側面から見て、著者の解釈(範囲をアルコール依存の親元で育った子どもに限らない)は的確であると考える。共依存の意味も本書によってある程度理解できた。
個人的見解として、内因性の気分障害、あるいはその他の精神疾患は、本書に述べられているように、生育歴に関係性を求めることができると考えている。そこに名前をつけてわかりやすくまとめたことが本書の意義になると考えられる。
しかし、大変複雑な問題を、これだけの少ないページ数にまとめたことで、総花的になってしまい、概要を俯瞰するにとどまることしかできなくなったことは、やや残念な点である。
読んでいてまさに自分の体験が書かれているような部分もあり、涙が出そうなほど共感できる部分もあったが、成長の過程でのトラウマは程度の差こそあれ、誰にでもあるのではないだろうか。その意味で、ACという言葉が独り歩きしてしまいがちな危険な要素も孕んでいるという点は注意しなければならない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
健康・からだ・こころ
- 感想投稿日 : 2010年9月6日
- 読了日 : 2008年4月29日
- 本棚登録日 : 2010年9月6日
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